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オフショア資産運用が有利な理由
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2018.07.06 Friday 01:25
オフショア資産運用が有利な理由
2018年7月4日付け日経新聞によると、金融庁が投資信託を販売する銀行に実施した調査で、投信を保有する個人投資家の半数近くが損失を抱えている実態が明らかになりました。過度な分配金や短期の売買で十分な運用収益を得られず、長期の資産形成に結びついていないケースが多く見受けられます。販売会社も改革に動きつつありますが、事態を重く見た金融庁は運用成績の共通指標などで顧客本位の徹底を求めています。
金融庁が都銀や地銀の計29行を対象に2018年3月末時点の運用損益を調べたところ、損失を抱える顧客は46%と全体の半分近くに達しています。ここ数年は緩和マネーの流入で世界的に株価が堅調に推移しています。本来なら個人が高い収益を得て良いはずですが、実態が異なるのは「日本固有の投信の構造」があるからと言えます。銀行や証券会社はかねて自らの手数料収入を優先し、個人の短期売買を助長しているとの批判がありました。販売手数料ばかりがかさめば、肝心の運用利回りは低下してしまうことになりかねません。ある金融庁幹部は「金融機関のトップは手数料収入の多寡は気にしても、顧客がもうけられているかは見向きもしてこなかった」と批判しています。
「日本固有の投信の構造」について、運用コストにあたる信託報酬以外にも、ファンドの監査費用、売買委託手数料、先物取引費用、ファンド保管費用、信託事務費用など、様々な名目の費用がファンド時価より天引きされます。これらの費用は事前に料率や上限額などを示すことができない費用となっており、特に外国株式や外国債券で運用する投信ではコストが高くなる傾向があり、ファンドの運用成績が市場平均のベンチマークを下回る原因にもなります。外国株式や外国債券で運用する場合、ケイマン諸島などオフショア籍のマザーファンドで運用した方が中間マージン手数料率が低く、より有利な条件でファンドを運用することが可能となります。ケイマン諸島はイギリスの海外領土で人口は57,570人、カリブ海の西インド諸島を構成する諸島の一つで、キューバの南西437kmに位置し、主要産業は観光で、古くからスキューバダイビングの名所として知られています。タックス・ヘイヴンであるためオフショア・バンキングも盛んで、ここに資産運用会社や特別目的会社(SPC)を置く海外の金融業も多く、自国民以外の金融資産の預かり残高では世界6位です。1位〜5位が、米国、英国、ドイツ、フランス、日本の先進国で占められていることを考慮すると、世界中の機関投資家と富裕層の資金が、運用コストの低いケイマン諸島籍のマザーファンドで運用されていることを理解することができます。
以前は租税回避やマネーロンダリングにケイマン法人が使用されることが多かったため、OECDはケイマン政府に対し、透明性と実効ある情報交換を実現するよう要求していたこともありましたが、現在は、OECD諸国が非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」にケイマン政府も加盟しています。そのため、日本在住者がケイマン諸島籍のマザーファンドで運用する場合、ファンドの利益確定時に日本国内で確定申告手続きは必要となります。それでも運用コストの低いケイマン諸島籍のマザーファンドで運用する価値は十分にあると思います。老後の一定期間をマレーシアやシンガポール等、海外資産が非課税となる国で過ごすことができれば、合法的にファンドの運用利益を非課税にすることも可能となります。
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