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ムーディーズ、中国と香港の格付けを引き下げ
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ムーディーズ、中国と香港の格付けを引き下げ

5月24日付の日経新聞によると、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の長期国債格付けを引き下げました。共産党と政府が景気下支えを目的に公共投資を積み増すなか、財政の悪化に警鐘を鳴らした形となりました。潜在成長率の低下や地方政府の傘下企業の偶発債務にも懸念を示しています。金融市場への影響は限定的でしたが、政府が着手した国債保有者の拡大を通じた人民元の国際化は出ばなをくじかれた格好となりました。

ムーディーズによる中国の格下げは28年ぶりで、「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から1段階引き下げ、日本やサウジアラビアと同じく最上位から5番目となる「A1(シングルAプラスに相当)」となりました。格下げの理由についてムーディーズは「潜在的な成長率が低下するなかで債務が増え続け、中国の財政面の強さがそがれる」と説明しています。同社は今後5年間で中国の潜在成長率が5%程度まで低下するとみていますが、中国当局による成長目標の引き下げはより緩やかになると分析しています。

株式や為替など金融市場への影響は限定的で、上海総合指数は取引開始後に1.3%安まで下げましたが、最終的には上昇して取引を終えました。元の対ドル相場もほぼ横ばいで、ムーディーズが今後の格付け見通しを「安定的」としたことで、「一段の格下げは避けられる」(大手銀行)との見方が広がっています。

ムーディーズは香港の格付けも「Aa1(ダブルAプラスに相当)」から「Aa2(ダブルAに相当)」に引き下げました。その根拠として(1)香港は中国本土と密接につながっているため、本土の信用状況は香港に影響する(2)「一帯一路」や証券市場の相互乗り入れなど、香港が参画する本土のプロジェクトはますます増えている(3)本土からの貿易・旅行者が香港に占める割合はどんどん高まっている(4)中国が香港の政治機構と政策制定時に関与した証拠がさらに多く見つかれば格付けをさらに引き下げる−を挙げています。これに対し特区政府の陳茂波・財政長官は、本土の融資の質が高いことや「一帯一路」への参加は香港経済全体にとって利益になることなどを挙げ、「ムーディーズの観点は非常に同意できない」と批判しています。
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投信不信 迷うマネー 金融庁批判で「毎月分配」自粛
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投信不信 迷うマネー 金融庁批判で「毎月分配」自粛

5月7日付の日経新聞によると、個人の代表的な資産運用商品である投資信託がパッタリと売れなくなっています。2016年度は14年ぶりに解約と償還額が購入額を上回る資金流出を記録しています。主因は圧倒的な人気を誇った「毎月分配型」の急ブレーキです。長期で資産を形成する投信を増やしたい金融庁と売れる商品を提案できない金融機関のはざまで、行き場を失った個人マネーがさまよっています。

「消費者の真の利益を顧みない生産者の論理が横行している。そんなビジネスを続ける社会的な価値があるのか」。先月、日本証券アナリスト協会が都内で開いた資産運用のセミナーで、金融庁の森信親長官は強い口調で投信業界への批判を展開し、多くの証券関係者が集まった会場は水を打ったように静まり返ったそうです。

運用益を払い戻せば複利効果が得られにくくなるにもかかわらず、世界的な低金利で運用難に直面し、分配金に投資家が払い込んだ元本を充てるファンドが多いのが現状です。分配金が全て元本の投信さえあります。投資家が毎月得る分配金の一部は運用益ではなく自分たちが払ったお金なのです。

神奈川県の40代の主婦は「分配金は精神安定剤。毎月ちゃんと出ていれば安心できる」と話しています。京都市の60代の主婦も「投信は基準価額の変動が大きすぎて心配。元本割れしたとしても毎月分配型以外は買わない」と話しています。個人は長期運用に不安を抱いています。

日本国内ではなぜ「毎月分配型」ばかりが売れていたのか、これは日本の学校で「複利効果」さえも教えてもらえない金融教育の欠如が影響しているように思います。日本人は過去の長期間に渡って労働でこつこつ貯めたお金を銀行の定期預金で運用することが美徳とされてきました。しかし、日本国内のゼロ金利政策の長期化によって、金利のつかなくなった定期預金の一部が毎月分配型投信で運用されてきましたが、毎月の分配金が運用益を下回る投信が多く、結果として多くの毎月分配型投信が元本割れを引き起こしてきました。
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混迷する日本の社会保障改革(15)
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混迷する日本の社会保障改革(15)

<前回より>

内閣府は1月25日の経済財政諮問会議で、中長期の財政試算を示しました。黒字化をめざす2020年度の国と地方の基礎的財政収支は8.3兆円の赤字を見込んでいます。16年度の税収が円高で落ち込んだことで想定が狂い、赤字は昨年7月の前回試算より2.8兆円膨らんでいます。高い成長を想定し、19年10月の消費増税を織り込んでも財政健全化目標の実現は困難です。赤字解消には社会保障の抜本改革も含めた追加策が必要な状況となっています。

安倍晋三首相は黒字化目標の旗は降ろさない方針ですが、道は険しいと言えます。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「20年度の黒字化は遠のいた。高成長・高インフレを前提とした財政健全化が困難なことが浮き彫りになった」と指摘しています。民間エコノミストはこのままでは目標達成は難しいとみています。

20年度に残る8.3兆円の赤字を消費増税で解消するとすれば、税率を約13%まで引き上げないといけない計算となります。ただ2度増税を延期したため20年度までの消費増税は、すでに予定している19年10月の10%への引き上げに事実上限られます。試算が前提としている19年10月の消費増税も景気の不透明感が強まれば、実現に向けた雲行きも怪しくなりかねず、財政健全化への不安は拭えない状況です。

一方、厚生労働省は1月27日、2017年度の年金額を0.1%引き下げると発表しました。マイナスは3年ぶりで、同日発表された消費者物価指数(CPI)が下落したのを年金額に反映する形となります。国民年金を満額で受け取っている人は16年度と比べ、月あたり67円減の6万4941円となります。厚生年金を受け取る標準世帯(夫が平均的な給与で40年働き、妻が専業主婦)では227円減の22万1277円となります。

年金給付を巡っては、財政を安定させるための給付抑制が必要との意見が多数を占めます。年金額を今より抑え、将来の年金額を確保するために、21年度からは現役世代の賃金が下がったときに高齢者が受け取る年金額も減らされることになります。

現在の公的年金制度の持続可能性を高めるためには、他にも年金の受給開始年齢の引き上げや、私的年金の充実などの大きな改革が避けて通れない状況となっています。いまの現役世代の皆様は、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。
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混迷する日本の社会保障改革(14)
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混迷する日本の社会保障改革(14)

<前回より>

年金支給額の上昇をおさえる「マクロ経済スライド」を強化する国民年金法改正案は11月29日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決されました。

今回の年金法改正案には、現役世代の将来の年金受給水準を維持するため、賃金の変動に合わせて年金額を改定する仕組みが盛り込まれています。物価が上昇しても賃金が下がり、年金額も下がる可能性があるため、野党は「年金カット法案」と批判していますが、新ルールは年金制度の持続可能性を高めるために必要な方策の一つと言えます。

公的年金は毎年の物価や現役世代の賃金の変動に合わせて、支給額を改定しています。これまでは物価よりも賃金が下がった場合には、原則として物価分だけしか支給額を減らさない、といった仕組みになっていました。

新ルールでは、賃金が減るならばそれだけ現役世代が苦しくなり、年金制度を支える力も弱まるので、賃金が減った分と同じだけ年金も減ります。さらに今回の法案には、年金受給者の増加や現役世代の減少に合わせて、年金支給額を毎年小刻みに切り下げていく「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みの見直しも盛り込まれています。

内閣府調査によると、マクロ経済スライドが発動された場合、公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比べると1955年生まれ(61歳)世代の収支は数千円のプラスに縮小し、それ以下の世代の収支はマイナスになります。最も損をする1985年生まれ(31歳)は712万円の受け取り不足になります。

今回の対策のほかにも、制度の持続可能性を高めるためには、年金の受給開始年齢の見直しや、私的年金の充実などの大きな改革が避けて通れない状況となっています。いまの現役世代の皆様は、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。
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混迷する日本の社会保障改革(13)
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混迷する日本の社会保障改革(13)

敗戦を告げる玉音放送の半年後の1946年2月16日夕刻の渋沢敬三蔵相によるラジオ演説で国民は「国家財政の敗戦」を知らされました。「預金の支払制限 世帯主三百円」「新日銀券を発行」……。

元財務相の藤井裕久氏(84)は「旧円に証書を貼った紙幣を新円代わりにしたことをよく覚えている」と語っています。預金封鎖と新円切り替えの準備は極秘に進められ、新札を刷る余裕がなかったためです。

米経済学者のカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏は金融危機の歴史を研究した大著「国家は破綻する」で事実上の国内債務デフォルト(不履行)の例に終戦直後の日本を挙げています。同書によると45年のインフレ率は568.1%。政府は国民の財産を吸い上げ、インフレで債務の実質価値を目減りさせて、戦時国債で借りたお金をなんとか返したとのことです。

70年後の日本、ネット上には「発行残高1000兆円の国債は政府の債務で国民は1000兆円の債権者」「国債のほとんどは国内で消化しているから財政破綻には至らない」といった言説があふれています。戦時国債もほぼ国内で消化され、国民は債権者だったが紙くず同然になってしまった過去を既に忘れてしまったかのようです。

今の日本の財政状況は異常です。国際通貨基金(IMF)の最新の統計によると日本の国内総生産(GDP)に対する債務残高は249%でギリシャの178%を大きく上回っています。第2次世界大戦中の44年の204%より高く、古今東西を見回しても46年の英国の270%に匹敵し、大戦でもないのに史上最悪に近い状況と言えます。

それでも日本には1,700兆円と言われる豊富な個人金融資産があるため、国家は最終手段として預金封鎖と新円切り替えを行なうことで、財政破綻を回避することができます。さすがに現代において預金封鎖はあり得ないと思いますので、現実的には今後さらに深刻になる少子高齢化社会に備えて、税収を増やし、社会保障関連費用を効率化することで対応していくことになると思います。

消費税10%引上げは再延期となり、人口減少が続く日本で今後の税収増は望むべきもありません。今後はやはり国民年金、国民健康保険といった社会保障関連費用が大幅に縮小されていくことを前提として、全ての日本国民は自らの老後を自らで守る必要性に迫られています。現在の現役世代の皆様は、老後の暮らしを公的年金制度に頼ることなく、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。
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イギリスよ、どこへ行く
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イギリスよ、どこへ行く

6月23日の国民投票で英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、英国内の世論の亀裂が深まっています。残留を支持した首都ロンドンでは「独立」を求める署名に16万人超が名を連ね、国民投票のやり直しを求める署名も300万人を超えました。国論を二分した投票は地域間や世代間の溝を浮き彫りにし、次期政権に重い課題を突きつけています。

国民投票の結果を受けて、スコットランド行政府のスタージョン首相は、2014年9月に反対多数で否決された英国からの独立を問う住民投票を再度実施する準備を始めています。同首相はEUと残留に向けた交渉を始めたい考えを示しています。

北アイルランドでは、民族主義政党シン・フェイン党がアイルランドとの統合を問う住民投票の実施を求めています。EU離脱が決まった後、EU加盟国であるアイルランドの国籍を取得する資格を持つ住民によるパスポートの申請が殺到しているそうです。

ロンドンの金融街シティーの将来にも暗雲が漂っています。単一通貨ユーロを採用していないのにユーロや米ドルを軸に世界の外国為替取引の4割を担っているのは、EU加盟国の看板があってこそだからです。

世代間の溝も深く、離脱を支持したのは高齢層が中心だったのに対して、その年金財源などを主に負担しているのは、残留を求めた若年層ら現役世代です。「民意」を無視された若年層は高齢層への不満を強めています。

円相場も史上最大の嵐に見舞われました。英国の欧州連合(EU)離脱が確実になったことで、「安全資産」とされる円に資金が一気に流入、1日の値幅は7円を超え、過去最大の変動率を記録しました。海外投機筋の短期的な売買が主導する一方、それ以外の投資家が市場から姿を消したことが拍車をかけています。

24日の午前11時40分すぎ、わずか3分ほどで1ドル=103円台半ばから99円ちょうどまで瞬く間に円高が進みました。対ポンドに至っては早朝に1ポンド=160円ほどのレートが135円と数時間のうちに2割近く急騰、主要国間の為替取引では極めて異例の事態となっています。

日本は国債や借入金、政府短期証券などをあわせた「国の借金」の残高が2015年末時点で1044兆5904億円、国民1人当たり823万円の借金を抱えているにもかかわらず、なぜ海外では日本円が「安全資産」とみなされるのか、これには理由があります。

日本銀行の資金循環統計によると、2015年12月末の個人金融資産残高は、前年比29兆円(1.7%)増の1741兆円あると言われています。日本国としては1044兆円の赤字ですが、日本人全体の個人金融資産が大幅な黒字となっているため、短期的に日本国債が破綻するリスクは低いと言えます。

しかしながら今後ますます深刻になる少子高齢化によって年金・医療などの社会保障関連費用が膨らむことは確実であるため、何ら有
効な対策をしなかった場合、近い将来、国の借金が個人金融資産よりも多くなってしまう日がやってきます。

イギリスでは今回の国民投票の結果、離脱を支持した高齢層と残留を求めた若年層ら現役世代との溝が深まる結果となっていますが、いつか日本でも財政的に優良な県や市が日本国からの独立を求めて住民投票を実施する日がやってくるのかもしれません。
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混迷する日本の社会保障改革(12)
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<前回より>

安倍晋三首相は5月28日夜、首相公邸で麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、自民党の谷垣禎一幹事長と会談し、来年2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2019年10月まで再延期する考えを伝えました。

首相は前回の増税延期を決めた際、「2017年4月の増税は、リーマン・ショックや大震災のような重大な事象が起きない限り、実施する」と断言していました。5月26日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、新興国経済の低調を示す統計をもとに「現状はリーマン・ショックの直前に近い」と認識を示したものの、多くのエコノミストやメディアからは異論が出ています。

日本経済の低迷が長期化しているのは、前回の消費税増税後の消費低迷だけでなく、日本の潜在的な経済成長力が停滞し、企業や家庭が一定の成長を前提とした消費や投資にお金をかけにくくなっていることが原因と言えます。

また、増税による税収増をあてにしていた社会保障関連の政策に影響が出るのは必至です。増税分はすべて社会保障の充実や安定化に使うとしており、税率を10%に引き上げた段階では、子育て支援や介護の充実、年金制度の改善に2.8兆円を投じる予定でした。ところが、再延期になれば今年度(1.35兆円)と同規模の状態が続き、社会保障の充実は遠のくことになります。

首相は自らの政権の支持率を維持するために、子育て支援や介護の充実、年金制度の改善といった社会保障制度の緊急課題を後回しにして、次の政権に託すつもりのようです。

国債や借入金、政府短期証券などをあわせた「国の借金」の残高は2015年末時点で1044兆5904億円もあり、国民1人当たり823万円の借金を抱えている計算になります。国家としての健全財政の条件は対GDP比100%以内と言われておりますが、日本国債の発行額は対GDP比で243%もあり、主要先進国の中では有史上例がない領域に突入しています。

内閣府調査で公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比べると、「1955年生まれ(今年61歳)世代の収支は数千円のプラスに縮小し、それ以下の世代の収支はマイナスになる。最も損をする1985年生まれ(今年31歳)は712万円の受け取り不足になる」とのデータもあります。

臭いものには蓋をして、国民にとって耳障りの少ない政策を遂行するのは政治家の性と言えます。恐らく、次期政権でも現在の社会保障制度の抜本的な改革案の提示を期待することはできないでしょう。現在の現役世代の皆様は、老後の暮らしを公的年金制度に頼ることなく、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。
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一人は皆のために、皆は一人のために
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明けましておめでとうございます。謙信アセットコンサルティング(香港)の木津英隆です。今年はブログの更新頻度を上げることを目標にしているので、今年の初仕事はブログ更新から始めたいと思います。

昨年の世界経済は欧米日を中心とする株式市場が堅調な動きであった一方、米ドル利上げと資源価格の下落により、新興国市場から資金引き揚げの動きが起こり、新興国株式は軟調な動きとなりました。今年の世界経済もまだまだ不安定要因が多い状況ではありますが、今年の干支にちなみ、猿知恵を振り絞って、この難局を乗り越えていく道筋を切り開いていきたいと考えております。

日経平均は昨年1年間で約10%上昇しましたが、これは日銀の金融緩和政策の恩恵によるもので、少子高齢化と財政赤字の問題を解決しない限り、日本経済が長期的に安定した経済成長を維持することは難しいと思います。

現在の日本の財政状況は、国債や借入金、政府短期証券などをあわせた「国の借金」の残高が2014年末時点で1030兆円もあり、国民1人当たり810万円の借金を抱えている計算になります。赤字国債の発行額は対GDP比で243%となり、主要先進国の中では有史上例がない領域に突入しています。

鈴木亘・学習院大学教授によると、「現行制度のままでは、厚生年金は2033年に、国民年金は2037年に積立金が底を突いてしまう」状況です。

また、小黒一正・法政大学准教授によると、「消費税率を5%から10%に引き上げても、日本の財政運営が行き詰まる時期を4年ほど遅らせるだけであり、消費増税だけで財政破綻を回避するには、税率を30%以上まで引き上げなければならない」との試算もあります。

このようなことを書くと必ず「日本は世界最大の債権国だから心配いらない」とか、「政策投資銀行やUR都市機構などの特殊法人、独立行政法人を民営化か廃止すれば、これらの法人に対する貸付金や出資金を回収することで、現在の財政赤字問題を解決することができる」というようなことをおっしゃる方がいますが、全くの詭弁です。

確かに日本は世界最大の債権国で、世界中の発展途上国に対して多額の円借款を行なっていますが、いずれも貸付期間が長期間に渡るものであり、日本の財政状況が厳しいからと言って、発展途上国に対する円借款を簡単に貸し剥すことはできません。

政策投資銀行やUR都市機構などの特殊法人、独立行政法人を民営化する議論については、民主党政権時代に数百兆円の埋蔵金があると言って国有資産の徹底的な洗い出しを試みましたが、現金化できた資産はわずか数兆円に過ぎませんでした。
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アベノミクスは失敗、必要なのは円高
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デンマークの投資銀行サクソバンクのスティーン・ヤコブセン最高運用責任者(CIO)、ロイターとのインタビューで、安倍晋三首相の経済政策であるアベノミクスについて「すでに失敗している」と述べ、日本には円高が必要だとの見解を示しました。また、日本企業は為替を言い訳に改革を怠っていると指摘し、利益の増加や生産性の向上などに努めるべきだと主張しています。

インタビューの概要は以下の通りです。

(1)日本経済の現状をどうみるか?

「アベノミクスは失敗に終わったと思う。(「アベノミクス2.0」として打ち出された)新三本の矢は、もはや矢ではない。構造改革はどこに行ったのか?」

「中央銀行が低金利政策をこれ以上継続しても効果がないことは政策担当者や学識者も認めるところだ。むしろ財政政策に対する負の影響が上回っているのが現状。だからこそ日銀も追加金融緩和に踏み切っていない。」

(2)為替について。

「ドル円相場の上昇に伴い資産価格は上昇してきたが、それも最終局面に差しかかっている。一時的に130円まで上昇する可能性はあるものの、1年後にはドルが下落し、2年後にはさらに一段のドル安が進むとみている。」

「ドル下落は、私が2016年に起きると考える変化だ。ドル安になれば、コモディティ価格は安定し、新興国市場の投資意欲は高まり、ひいては日米欧の輸出セクターへの追い風となり、世界経済の成長に寄与するだろう。」

(3)日本に求められることは。

「私は、日本に必要なのは円高だと確信している。日本は今年を振り返り、低金利、エネルギー安、円安の1年の末にリセッション(景気後退)に陥ったという現実を見つめるべきだ(7─9月期GDPが2四半期連続でマイナスとなり、欧米の定義ではリセッション入りとされる)。」

「円安は資産価格を人為的に上昇させはするが、それは長期的かつ継続的な企業の収益力強化や生産性向上に基づくものではなく、日本経済の問題の解決策とはならない」

以下は、本記事に対する私の感想文です。

日経平均が2万円台を回復、上場企業が過去最高利益を更新といったニュースを読むたびにもやもやした気持ちになっていましたが、ようやく気持ちがすっきりしました。記事の書き手は、やはり外国人の方でした。

アベノミクスを一言で表すならば、「大企業優遇政策」と言えます。金融緩和と円安誘導を二本柱にして、大企業の業績が回復すれば、下請けの中小企業、個人にも恩恵が及ぶとの目論見でしたが、実際にはそのようにはなっていません。

日本が輸出大国であったのは既に昔話で、現在はGDPの6割が個人消費の内需大国になっています。円安で一部の大企業が恩恵を受けることができたとしても、部品を輸入に頼る大多数の中小企業、大部分の日用品を輸入に頼る個人にとってはマイナスの効果しかありません。

アベノミクスは失敗、必要なのは円高です。
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混迷する日本の社会保障改革(11)
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<前回より>

米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9月16日、日本国債の格付けを「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に1段階引き下げました。S&Pが日本国債をシングルA格にするのは初めてで、アベノミクスが十分な経済成長につながっていないと判断したようです。

同社による日本国債の格下げは2011年1月以来で、およそ4年8カ月ぶりです。昨年12月にムーディーズ・インベスターズ・サービス、今年4月にはフィッチ・レーティングスが日本国債を格下げしています。安倍晋三首相が昨年11月に消費再増税の延期を表明以降、大手3社がそろって格下げしたことになります。

S&Pのソブリン格付けディレクターのキムエン・タン氏は日本経済新聞に、格下げの主因は「日本経済が期待したほどの早さで回復せず、所得も十分上がっていないことだ」と説明しています。

日本国債の発行額は対GDPで243%となり、主要先進国では有史上例がない領域に突入しました。一国の中央銀行が国債を買い支える財政ファイナンスも前代未聞の出来事です。このような状況で株価だけが先行し、日銀がお札を刷り続ける先には何が起こるのか、考えるだけでも空恐ろしくなります。円がまだ通貨としての価値を保有している間に、外貨建ての運用をコツコツと増やすこと、これしかもう自己防衛できる手段はないと思います。

また、1975年に出生率が2.0を下回って以降、少子高齢化によって社会保障費が次第に増加していくことが明らかであったにもかかわらず、社会保障費の増加を抑制する政策が実施されなかったことは政治の怠慢と言えます。年金も医療も、年功序列社会の代償として、これまでは国や会社が面倒を見てくれましたが、もはや国や会社に頼れる時代ではなくなった、自分の身は自分で守る時代がやってきた、と考えるのが賢明です。
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