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海外で資産を持つべき理由

 

海外で資産を持つべき理由 私は2008年より香港のIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に所属する資産運用コンサルタントとして勤務しておりますが、私がこの仕事を始めた当時、多くの日本人にとって、海外での資産運用はそれほど一般的ではなく、お客様はある程度の余剰資産をお持ちの経営者や高給取りの人達が多いというイメージでした。それから15年の月日が流れ、海外での資産運用は富裕層のためだけのものではなく、ごく普通の収入の方々にとっても必要なものになってきていると思います。その理由は、主に以下の4つあると思います。

 

1.円安と物価上昇リスク

 

世界的な物価上昇の波を受けて、米国を始めとする先進国の中央銀行が利上げに動く中、日本だけがゼロ金利政策に固執し続けているため、昨年は急激な円安の影響で、上記グラフのとおり、消費者物価指数が大幅に上昇し、多くの一般家庭が打撃を受けました。最近、円安がやや一服したものの、再び更なる円安となれば、物価上昇に賃上げが追い付かない負のスパイラルとなり、日本円の資産しか保有していない方の資産は減り続けることになります。しかし、外貨建て資産を保有している方は、為替差益で物価上昇分を補填することができるので、今後の物価上昇にも慌てふためくことはないでしょう。

 

2.共同名義プランを活用した相続対策

 

日本でご家族に不幸があった際、相続手続きが完了するまで日本国内の銀行口座からの引き出しができなくなりますが、海外で保有する銀行口座、保険や投資商品は、夫婦や親子間で共同名義にすることができるため、共同名義人のいずれかが亡くなった場合においても、銀行口座が凍結されることはなく、保険や投資商品は引き続き運用継続可能で、部分解約して現金化することもできます。また、保険や投資商品の契約時に相続人指定手続きをきちんとしておけば、遺言書がなくても、指定された相続人に、指定された割合で、保険金の支払いがされます。外貨建ての貯蓄型生命保険に加入しておけば、日本国内の相続税の支払いに充てることもできるので、家のローンが残っていたとしても、ご家族が住み慣れた自宅に住み続けることができるでしょう。

 

3.海外移住時に海外資産運用益が非課税

 

海外資産から得られる運用利益や配当金を日本在住時に受け取る場合、利益に対する税率が一律20%の配当課税もしくは累進課税率となる所得税いずれかの税率が適用されることになります。それでも利回り条件が優れた海外の金融商品で運用するメリットはあると思いますが、日本の税制は属地主義のため、リタイア後に海外で暮らす予定がある場合、海外在住時に利益確定手続きを行なうことで、オフショア非課税となる海外の金融商品で運用するメリットを最大限に生かすことが可能となります。

 

4.まさかの預金封鎖対策

 

私も日本人として、このようなことは起きてほしくないと願っていますが、少子高齢化がますます深刻になり、国の借金が増え続ける状況が続くと、いつかXデーがやってくるかもしれません。そのような事態に備えて、ごく普通の収入の方々にとっても、ある程度の海外資産を保有しておくことが肝要です。

 

最後に、私が住む香港の宣伝となりますが、香港には世界中の金融・ビジネス関係者が公平で非政治的な取引を行うことのできる欧米型の法・規制制度があり、法の支配、有能な規制当局、低い税率、自由な資本移動、英語の使用といった面で、香港は中国本土のライバル都市と比べて大きな違いがあります。香港の外貨準備高は香港ドル総発行量の約2倍もあり、 今後も長期的に米ドルに対する目標相場圏制度(1US$=7.75〜7.85HK$)を維持していくことになると思います。香港の主要な銀行や保険会社の格付けが、日本国債の格付けよりも高いことも考慮すると、やはり、ごく普通の収入の方々にとっても、ある程度の海外資産を保有しておくことが肝要と言えます。

 

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混迷する日本の社会保障改革(23)


混迷する日本の社会保障改革(23)

<前回より>

6月11日付の日経新聞によりますと、金融庁は老後の金融資産が約2000万円必要とする試算を盛り込んだ報告書の事実上の撤回に追い込まれました。麻生太郎金融相が「正式な報告書として受け取らない」と表明、有識者会議でまとめた報告書が認められないのは異例です。騒動の広がりは将来の生活設計に対する不安を映し出しており、政府が公的年金制度改革を着実に進める必要性が改めて浮き彫りになった格好です。金融庁の金融審議会がまとめた報告書は定年退職後に必要とされる金融資産の推計を示しています。夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合、毎月約5万円の赤字が出ると試算しており、この後、30年間生きるには約2000万円が不足するとしています。

報告書をまとめた有識者が示したのは、退職金を含めた長期の資産形成による備えが必要という提言でした。ただ、より注目を集めたのは公的年金だけに頼った生活は成り立たないという点です。公的年金への不信感の根強さが今回の騒動を拡大させた側面が強く、将来への不安が大きいことを改めて浮き彫りにしています。政府の制度設計によると、現役世代の所得に対する年金の水準はいずれ50%程度に下がる見通しです。将来への不安を和らげるには、現在の年金受給者への給付を抑え、将来世代に回す仕組みづくりが課題となります。

このニュースを読んで、私自身も首をかしげてしまいました。今後も日本国内では少子高齢化社会が更に深刻化していく状況で、公的年金だけに頼った生活が成り立たないことは自明の理であり、この後、30年間生きるには約2000万円が不足するという話は、あくまでも現時点で夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯が年金に頼って暮らす場合に不足する金額の試算となります。いま現役世代の皆様が何十年後かに来る老後を暮らしていくためには、わずか2000万円での貯蓄ではとても普通の暮らしを続けていくことは難しい時代になっていくでしょう。
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混迷する日本の社会保障改革(22)


混迷する日本の社会保障改革(22)

<前回より>

厚生労働省は会社員らが入る厚生年金について、一定額以上の収入などがある場合、70歳以上も加入して保険料の支払いを義務付ける検討に入りました。現在は70歳未満としている保険料の納付期間が長くなるため、将来受給できる年金額は増えることになります。

健康寿命が長くなり、働く高齢者は増えています。総務省の18年の労働力調査によると、70〜74歳の役員を除いた雇用者は129万人おり、75歳以上も53万人います。内閣府の調査では仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」と答えています。長生きに備えて、健康のうちは一定時間以上働く高齢者にとっては、加入期間の延長によるメリットは大きくなります。

また、総務省が発表した2018年10月1日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は17年の同じ月に比べて26万3千人少ない1億2644万3千人でした。減少は8年連続、減少率は0.21%で、統計を取り始めた1950年以来、最大となりました。

1年間の出生数から死亡者数を差し引いた人口の自然増減は42万4千人の減少でした。自然減は12年連続で高齢者の増加と出生数の減少が背景にあります。1年間の出生児数は94万4千人、死亡者数は136万9千人でした。男女別では男性が14年連続、女性は10年連続で自然減でした。

年齢層別の割合をみると、15歳未満の人口は全体の12.2%で過去最低となり、70歳以上は20.7%と初めて20%を超えました。労働の担い手となる15〜64歳の「生産年齢人口」は51万2千人減の7545万1千人、総人口に占める割合は59.7%で、50年以来最低となりました。人手不足が成長の足かせとなりかねない実態が浮き彫りとなっています。
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混迷する日本の社会保障改革(21)


混迷する日本の社会保障改革(21)

<前回より>

財政学が専門で財政制度等審議会委員を長く務める土居丈朗慶応義塾大学教授は、現在のような財政拡大と日本銀行による国債の大量購入が続けば、いずれ金利急騰を抑えられなくなり、経済が大混乱する可能性が高まっていくとの見方を示しています。政府が巨額の国債を発行する中で「日銀はやがて6割、7割を買い取ってしまうかもしれない」とし、国の財政赤字を日銀が従属的に穴埋めする「財政ファイナンス」との見方を払しょくできなくなる可能性を指摘しています。その際「慶応の人間としてはあまり言いたくないが、福沢諭吉先生の肖像の1万円札が紙切れになるかもしれない」と語っています。

2018年末の国債および借入金は1100兆5266億円と過去最高を更新し続けています。債務残高の対国内総生産(GDP)比率は230%超と先進国で最悪な状況です。日銀は13年に量的・質的金融緩和を導入して以来、巨額の国債購入を続け、長期金利を0%程度に誘導しており、昨年9月末時点で日銀の国債保有残高は全体の43%に達しています。

土居教授は、財政出動と日銀の大量国債購入を繰り返せば、最も起こる可能性が高いのは「金利の急騰だ」と説明しています。日銀の国債保有比率はますます高まっていき、買い入れ余地がどんどん減っていることが明白になった時、そのまま継続できる政策でないことに皆が気付き、「いずれ金利を抑制できなくなるかもしれない。それがハードランディングだ」と語っています。
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混迷する日本の社会保障改革(20)


混迷する日本の社会保障改革(20)

<前回より>

2018年11月29日付け日経新聞によると、各国・地域の年金政策を指数化した2018年度の国際ランキングで、日本の年金は持続性への評価が低く、世界の34国・地域の中で29位という評価になっています。ランキングをまとめた米コンサルティング会社マーサーは「公的年金の支給開始年齢の引き上げ」などを日本の対策にあげています。

日本の総合格付けは7段階のうち下から2番目の「D」ランクで、「対処すべき重要な弱点があり、改善しなければ有効性や持続性が疑問視される」と評価されています。特に国の借金や平均寿命、支給開始年齢の関係などを評価する「持続性」が低く、項目別の格付けは最低の「E」ランクでした。マーサージャパンの北野信太郎プリンシパルは「赤字国債で財政を賄う現状では、年金制度がこのまま続くとは言えない」と指摘しています。
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混迷する日本の社会保障改革(19)


混迷する日本の社会保障改革(19)

<前回より>

政府は公的年金の受け取りを始める年齢について、受給者の選択で70歳超に先送りできる制度の検討に入りました。年金の支給開始年齢を遅らせた人は毎月の受給額が増える制度を拡充し、70歳超を選んだ場合はさらに積み増す方針とのことです。

現在の公的年金制度では、受け取り開始年齢は65歳が基準で、受給者の希望に応じて、原則として60〜70歳までの間で選択することができます。受け取り開始を65歳より後にすれば毎月の受給額が増え、前倒しすれば減る仕組みになっていますが、政府は受給開始年齢の上限をいまの70歳から75〜80歳程度に引き上げることを想定しています。

受給開始年齢の引き上げで支給が不要になる分を、その後の受給額上乗せの財源に充てるとのことですが、そんなに事がうまく運ぶとは思えません。国の基礎的財政収支(PB)の対象経費のうち医療や年金などの社会保障関連費用は44%超を占めています。22年から団塊の世代が75歳以上になり始め、医療や介護にかかる費用はさらに膨らむ見通しです。

内閣府の試算では歳出抑制に手を着けなければ、社保費の膨張や物価上昇で国の歳出は18年度の97.7兆円から、25年度に120.5兆円まで膨らみ、その後も自然体のままでは大きく膨張する歳出をどのように抑えていくかを示す必要がありますが、政府は楽観的な経済成長シナリオを描くのみで、少子高齢化の現実に目を背けているとしか思えません。

最低でも国家財政の破綻を回避し、将来世代に禍根を残さないためには、いまの現役世代の皆様は医療費の負担が増え続け、年金支給額が減り続けることを覚悟しなければなりません。人生100年時代、つまり100歳まで現役で働き続ける覚悟が必要な時代が来た、と考えざるを得ません。
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混迷する日本の社会保障改革(18)
japan39

混迷する日本の社会保障改革(18)

<前回より>

今年もいよいよ年の瀬となり、来年の日本経済を展望する時期となりました。来年も日銀の異次元緩和政策と戦後最長となるアベノミクス景気による円安と株高が続く可能性が高いように思いますが、その背後に隠された副作用と財政リスクに十分気をつける必要があると思います。

第一生命経済研究所・首席エコノミストの熊野英生氏によると、来年4月に任期を迎える日銀の黒田総裁が再選された場合、金融引き締めへ向けた出口政策をますます急がなくなり、緩和政策継続の副作用が日本経済を害することになります。具体的には、マイナス金利が銀行などの収益を圧迫することになるため、すでに大手銀行は人員削減を発表しています。また、債券市場は機能を低下させ、年金基金など機関投資家も運用収入の減少に苦しんでいます。

2018年以降も、異次元緩和を延長すれば、より強い副作用で日本経済の屋台骨がぼろぼろになります。黒田総裁は自分が始めた巨大緩和を自分できっちりと終わらせる責任があると言えます。

また、2018年度予算案の概要が明らかになり、一般会計の歳出総額は97.7兆円前後で、17年度当初から0.3兆円程度増えて、過去最大を更新します。総額の3割超を占める社会保障費は医療費や介護費が膨張し、0.5兆円前後増加することになります。国債費を除いた政策経費を、新たな借金に頼らずどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」は引き続き約10.4兆円の赤字となります。

国家の健全財政の基準は対GDP比100%以内とされていますが、日本の国債発行額は対GDP比246%となっており、対GDP比が200%を越えるのは、主要先進国の中では有史上例がない状況です。このまま次世代への負担が増え続けていく状況が続けば、年金や医療等の社会保障制度は制度そのものを維持していくことが難しくなり、次世代への禍根を残すことになります。病気やけがをしても実際の治療費の1〜3割のお金を支払えば誰でも治療を受けられる国民皆保険制度は既に瀕死の状態に陥っています。

将来世代に禍根を残さないためには、自分の年金は自分で用意しておくことで国民年金制度に頼らずに生活できるだけの老後の準備を遅くとも30代から始めておくこと、病院などで必要性の低い薬や湿布剤の処方を頼まないといった対応を一人一人の現役世代が心がけることが益々大切な一年になっていくことと思います。

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混迷する日本の社会保障改革(17)
japan38

混迷する日本の社会保障改革(17)

<前回より>

2020年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化するという目標が先送りされます。次なる期限はまだ決まっていません。以前から、2020年度の達成実現は無理という意見は根強くありました。2017年度の見通しは18.4兆円の赤字、これを2020年度に8.2兆円の赤字まで減らしたとしても、まだ黒字化までの距離感は途方もなく大きい状況に変わりありません。

2019年10月に2%の消費税率引き上げで5.6兆円の税収増が見込めたとはいえ、それで黒字化は無理です。安倍晋三首相は、そこから少なくとも2兆円を教育などの無償化に流用すると言っています。消費増税分の使途変更というよりも、それ以前にPB赤字幅の縮小がうまく進められなかったという理解が正しいと言えます。

財政リスクなど単なるフィクションにすぎないという見解は根強くあり、現在でも相当の求心力を持っています。但し、そうした見解に便乗して財政再建を放棄した後で、財政リスクが顕在化したときには、オピニオンリーダーたちは何の責任もとらないでしょう。これは危険な構図と言えます。

もしも、財政リスクを映す鏡がなく、どんどんリスクが高まる出来事が起これば、リスクは突然に襲ってくることになります。そのときは、投資家の疑心暗鬼がリスクプレミアムとして加わることになれば、財政破綻が現実化することになります。

衆院選挙も終盤に差し掛かっていますが、与野党ともに国民の人気取り政策と双方の揚げ足を取ることにばかり議論が集中しており、財政健全化に関する議論が全く聞こえてこないことに危機感を感じずにはいられません。

現時点で短期的な財政破綻リスクは低いと思いますが、いまのように財政赤字を垂れ流し続ける状況が続けば、10年後〜20年後の年金や医療等の社会保障制度は目も当てられないような状況になっていることでしょう。ハゲ発言で物議を醸した議員の発言からも見て取れるように、次の選挙に勝つことしか考えられない議員しかおらず、国家百年の計を語れる議員が一人もいない状況ではとても財政健全化は望みようもありません。

1867年の大政奉還から今年で150年、いまの日本の繁栄があるのは国家百年の計のために戦った幕末の志士達の偉業とも言えます。もう一度、日本を洗濯してくれる志士達の出現が望まれますが、、、
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混迷する日本の社会保障改革(16)
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混迷する日本の社会保障改革(16)

<前回より>

政府・与党で大学などの教育費の負担軽減策に充てる「教育国債」の構想が再燃しています。大学卒業後、一定の収入を得たら授業料を「出世払い」で返済する制度と組み合わせ、政府は年内に具体案のとりまとめを目指しています。

首相は「教育無償化」の実現を掲げて、来年度には返済の必要がない給付型奨学金を創設する予定とのことですが、現在の予算の枠内での実現は難しく、新たに巨額の財源が必要となります。もし日本の財政が健全で経済成長も確実なら、単純に赤字国債を発行する選択肢があるが、いまはそんな状況ではありません。

今回の教育国債の構想は、赤字国債の発行額が対GDP比246%まで膨れ上がっている状況において、財政健全化には完全に逆行する動きと言えます。そもそも日本では短大を含めた大学進学率は約8割と高く、これ以上、巨費を投じて大学教育まで無償化を進める必要があるのか、「投資に見合う効果は期待できない」との指摘も多く出ています。

今後も少子高齢化がますます深刻になり、公的年金や医療制度の現状維持さえも難しくなってきている状況において、教育国債よりも優先順位が高いはずの「税と社会保障の一体改革」は手つかずの状態が続いています。5年に渡る日銀の金融緩和政策も目に見える効果は出ておらず、税収も増える見込みがない状況で、次世代への負債だけが増え続けています。

アベノミクスが残した一番大きな功績は、経済成長と財政健全化は両立できないことを証明したということです。そもそも国民の大半がいま以上の経済成長を望んでいるとは思えず、政府の役割は国民が最低限の生活を維持できるための社会保障制度を維持するだけで良いはずです。民間にできることは民間に任せれば良いし、大学を出たところで必ず良い仕事につける保証もありません。国民の血税でワインセラーのある大学キャンパスを建設するなど言語道断です。

日本はもっと小さな政府を目指すべきだと思いますし、国民に人気のある政策ばかりを並べるのではなく、財政健全化のために年金支給開始年齢や医療費を引き上げるなど国民にとって耳の痛い政策も誠実に実行していける政府が求められているのだと思います。
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ムーディーズ、中国と香港の格付けを引き下げ
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ムーディーズ、中国と香港の格付けを引き下げ

5月24日付の日経新聞によると、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の長期国債格付けを引き下げました。共産党と政府が景気下支えを目的に公共投資を積み増すなか、財政の悪化に警鐘を鳴らした形となりました。潜在成長率の低下や地方政府の傘下企業の偶発債務にも懸念を示しています。金融市場への影響は限定的でしたが、政府が着手した国債保有者の拡大を通じた人民元の国際化は出ばなをくじかれた格好となりました。

ムーディーズによる中国の格下げは28年ぶりで、「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から1段階引き下げ、日本やサウジアラビアと同じく最上位から5番目となる「A1(シングルAプラスに相当)」となりました。格下げの理由についてムーディーズは「潜在的な成長率が低下するなかで債務が増え続け、中国の財政面の強さがそがれる」と説明しています。同社は今後5年間で中国の潜在成長率が5%程度まで低下するとみていますが、中国当局による成長目標の引き下げはより緩やかになると分析しています。

株式や為替など金融市場への影響は限定的で、上海総合指数は取引開始後に1.3%安まで下げましたが、最終的には上昇して取引を終えました。元の対ドル相場もほぼ横ばいで、ムーディーズが今後の格付け見通しを「安定的」としたことで、「一段の格下げは避けられる」(大手銀行)との見方が広がっています。

ムーディーズは香港の格付けも「Aa1(ダブルAプラスに相当)」から「Aa2(ダブルAに相当)」に引き下げました。その根拠として(1)香港は中国本土と密接につながっているため、本土の信用状況は香港に影響する(2)「一帯一路」や証券市場の相互乗り入れなど、香港が参画する本土のプロジェクトはますます増えている(3)本土からの貿易・旅行者が香港に占める割合はどんどん高まっている(4)中国が香港の政治機構と政策制定時に関与した証拠がさらに多く見つかれば格付けをさらに引き下げる−を挙げています。これに対し特区政府の陳茂波・財政長官は、本土の融資の質が高いことや「一帯一路」への参加は香港経済全体にとって利益になることなどを挙げ、「ムーディーズの観点は非常に同意できない」と批判しています。
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